942日目 シャンクス

 

ぱあああああ。ダルい。

俺はデッカい希死念慮や反出生主義に陥ったことはないが、かといって「生きてるだけで儲けもん」などと宣って目をキラキラさせる青年でもない。人は自分の生命を失うのが怖いから、生命を維持するためだけに、生命を削って働き続ける。立ち止まっても走り切っても死が待つだけの長い長いマラソンを楽しめるのは、よっぽど心肺機能が優れていて微笑む余力のある人か、苦痛を感じる神経が壊れた狂人だけだ。

 

……おろ? なんだっけ。今日の主題は何だったかな。忘れてしまった。

忘れてしまう程度のことなら大したことはないか。

 

今日はさっさと寝たい、というか寝れないとヤバいので、またチルアウトを買ってきた。何が入ってるのか、はたまたプラセボなのか分からないが、どうにもよく眠れる気がする。

 

ふわっと大学受験の頃を思い出す。数多の受験生の例に漏れず、俺もまた先の見えない宙ぶらりんな学生の一人だった。鈍感ゆえ思いつめることは少なかったが、多大なプレッシャーがかかっていたことは間違いない。けれども、瞬間瞬間のことを思い返すと、当然のように余裕をかましていることが多かったように思う。不安を受容する器官がバグっていた気もするし、本当に自信でいっぱいだったような気もする。まあ、あんまり物事を深刻に捉えないタイプだったんだろう(裏を返せば、どんなことにも真剣にならないという汚点でもある)。

どことなく気が抜けているのは今もそのままだ。シャワーを浴びる直前まであんなに不安を募らせていたのに、上がって日記を書き始めたら何が辛かったのか忘れてしまった。最終なんとかなりそうなこと(つまり、研究以外のこと)に対する奇妙な「なんとかなるやろ」感。それで失敗したことだって何度もあるけど、まあ、どうであれ必ずひとつのオチはつけられて、そうして次のページがめくられるだろうから。

……まあ本当は、失敗したことを必然だったと正当化して、どんどん自分の期待値を下げていっているだけなんだけど。

 

猫のおひめさま。トルマリンの茶漬け。顔だけのシャンクス。

 

夜空に高い塔は聳え、そしてちっぽけな人々は未来に目を背けて眠るポン

 

名画

 

何が見えているんだい

 

あなたです

 

ここにないもの

 

 

手のひらに

 

そうでしょう

 

浮遊感

 

伝統工芸

 

何なのよ もう

 

ピーッ

 



客体

 

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