1589. 若おじいちゃんの知恵袋

 

んもう、炊事のアウトソーシングは極めて合理的だという確信を持って久しい。何でもかんでも時給換算するわけじゃないが、少なくとも一時間くらい下拵えの時間をかけて煮物を作るよりは、スーパーのお惣菜コーナーで二百円の煮物を買うほうがよほど理にかなっている。自炊の方が有利と言えるのは、ほとんど手間がかからなくて、なおかつ簡単にうまあじが担保できるメニューに限る(下準備が少なくて済む食材を雑に炒めるか茹でるかして、焼肉のタレやCook Doなんかでパパッとお店レベルの味を付けるのが一番美味しいし楽でよい)。

なんで急にそんな話をしてるかって? こないだ超久々に自炊のやる気を出したんだよ。肉じゃが作ろうと思って。どうせなら大量に作り置きした方がいいかなと思ってさ。

じゃがいも8個剥いたよ。泣きながら剥いて切って煮込んだらそれだけで寝る時間になってしまった。そんなんなら買った方が安いよって話。

 

1588. LADIES AND GENTLEMEN

 

度々書いてる気がするけど、やっぱこのことは書かなきゃならないな。

陰キャの自認が強い我々からしたら、陽キャってやっぱ別種族の人間。特に、二言目には恋バナしかしない人種なんかは、何? つまんないんだけど? いや、つまんねぇのは俺か。とか思ってしょげちゃう。

けれども、本当の優れた陽キャ、明るくて賢くて人徳もある陽キャの皆さんは、一切相手に引け目を感じさせることなく、楽しませてくれる。受け入れてくれる。

久々に飲んで、思い出した。こいつらに俺は僻みとか無かった。尊敬なんだ。世の中には「素敵なヤツら」ってのが確かにいるんだよ。

なんせ「今度また旅行行こうぜ?」とか言ってくれるんだよ? 大真面目にさ。俺だったらそんなお誘いするか? しねぇよな。同じ人種ならいざ知らず、生きる世界の違う陽の人々を、急に旅行に誘うなんてそんなさ。でも、こいつはケロッと言うんだよ。マジによ。勝てねーなと思う。勝つ負けるとかの土俵でもないと思う。すごいのがいるよ、世間には。

これに俺もなりたいとか、ならなきゃとか、そんなことは思わない。人は人それぞれだろ。でも、感謝と尊敬だけはマジです。知的エリートってのは社会の敵みたいに見られてるところもあるけど、彼らには幸せになって欲しい。現にそうか。

 

1587. 気品のある白猫は

 

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キャッホイꗯ̤̮

 

かの名作きりちにっき「デブ考」から一年半ほどが経ちますが、その間どういった魅惑ボディの経緯を辿ったかというと。まず、ボン・ボン・ボンの極地に達した昨年の秋頃にあすけんを始め、そこから春先までに食事制限の力だけで5キロやせ。就職後まもなく現場実習が始まり、史上稀に見る過酷な炎天下の肉体労働でさらに5キロやせ。結局合計で10キロも減り、ニヤニヤ教授もかくやという程のうすほそ体型を実現。大きなお友達に目をつけられる前にそろそろ防犯ブザーを買った方がいいかなと思い始めた頃合いで、現場卒業とともに食欲の秋が到来。飲み会の日は記録をつけないというマイルールを逆手に取り「いっぱい食べたいので一口だけビールを舐める」という脱法行為をキメるなど、多岐に渡る活動の結果、12月現在はややリバウンド気味。さりとて十の位が戻るほどでは(辛うじて)なく、まあいいんじゃないの、気品のある白猫は多少のゆとりを蓄えているもんじゃないの、と思ってしゃなりとグラビア横座りしています。床が冷てえな。

最近は気分が安定しており、冬特有の「寒すぎて毎駅トイレ行きたすぎ」現象がほとんど跡形もなく寛解したので、ヤな季節だなと思わせる要素ももはやほとんどなく、従って圧倒的に夏の方が暑苦しくてカスという評判に落ち着きつつあります。しかし、デブ考からの一年半の変化を身をもって知る人間として言うと、まず間違いなく夏の方がやせる。このまま年末年始を経て、睦月、如月と寒い日が続くと、終わる頃にはなんぼぷくぷく太ってミラ子に元通りしているか知れません。なので、汗をかくのはヤだけども、己の健康を鑑みればはやく夏が来てくれた方がいい。サーティワンのスモールダブルをモキュモキュ食みながらそう思うわけです。今日はもう夕飯に残されたカロリー限度が500くらいしかありませんので、酒を飲もうと思います。限界突破(ᵔᴥᵔ)

 

 

1585. 『雪国』を読んで

 

川端康成の『雪国』を読み終えた。日本語が夢幻のように美しいな、とか、現代のエンタメ小説と違ってフリやオチが無いんだな、とかいろんなことを考えたが、なかなかそれらについて語るでもない。もっと素朴な感想として「どうしても、素敵に見えてしまうなあ」と思った。

 

雪国の舞台は今で言うところの越後湯沢で、俺はかつて旅行したことがある。温泉に寿司に酒と観光客向けの愉しみには事欠かなかったが、背丈をゆうに超えるほどの積雪に閉ざされた街並みは陰鬱で、寿司屋の大将も「いいもんじゃないよ」とくたびれていた。住む人にとっては理想郷でもなんでもないのである。大昔だったら尚更で、雪国の時代は今ほど清潔でもなければ空調が効いて心地よくもなかっただろうし、それから芸者である駒子やその他の女性たちの身の上は、現代人からすればひどく不平等で窮屈に思われる。

……ところが、見事な日本語で彩られた「物語」として味わうと、猥雑で寒くて死や不自由が身近なはずの古い雪国の暮らしが、いたく魅力的で涙が出るほど切なく感じて、この時代にタイムスリップして蛍のような恋をして死にたい、という気持ちになってしまう。妻子を差し置いて雪国に逗留する島村の高等遊民という身分がロマンチックで楽しそうに見えてたまらないし、ひたむきで可憐な駒子の芸者という身分ですら、その哀しさに寄り添うことを忘れて「理想的な存在」であるかのように思えてきてしまう。

 

同じことは他のさまざまな「物語」で常に起こっている。たとえばサイバーパンクというジャンルでは、退廃した近未来都市の滅茶苦茶なビル群の隙間で、若者たちは汚らしいワンルームで酒とファストフードと電子ドラッグを浴びながらしぶとく生きている。令和現在の日本で比較的健やかに生きている我々をそんな世界に急に放り込んだら、落ち着かなさと不潔のあまり狂おしい気持ちになるだろう。しかし、それが「物語」であるからには、サイバーギャングたちのギラギラした生き様はどうにも魅力的に見え、実際は耐えられはすまいに「俺もサイバーパンクみてえなぐちゃぐちゃの世界に生きてみたい」と思い起こさせる。

もっと身近な例があった。『ペルソナ5』はファンタジックな設定のある現代劇で、田舎の故郷から引っ越して四軒茶屋に居候している主人公は、高校の仲間らと連れ立って渋谷などで暗躍し、スリリングな二面生活を送る。それが非・東京民である大多数のプレイヤーにとってはひどくクールに映ってたまらない。一方、このほど東京で就職し、頻繁に渋谷に出勤したりもした俺の目からすれば、かつて夢に見ていた渋谷への憧れは今やだいぶ薄れて、まあすごい都会だよね、でもあんまり行かないよね、みたいな月並みな風景になってきている。

 

「物語」の世界はいつでも理想郷のように鮮やかだが、それが目の前の現実になってしまえばどうしても色落ちしてしまう。そういうように出来ている。

良いとか悪いとか言う気はない。ただ、寂しいなと思う。手に入れたものをたちまちに陳腐化して、そうしてまた手に届かない理想の世界を追う、その満たされることのない営みが。

 

1584. 殴り殴りランド

 

社外との会議で「ここ上げさせてください」と言われることがよくあって、そりゃこんなに目まぐるしい情勢だもの、仕方ないわな。とロジックに納得するのだが、チラとうちの上司を見やったら堂々と険しい顔してて、語気を強めて問い質したり、あるいは冷たい笑顔を浮かべてガンガン詰めに行ったりする。どうやら、論理に筋が通っていれば快く応じる、という態度はプライベートなら素敵だけれど、仕事の場においては「甘い」ということになるらしい。今はまだ一年目で決定権も何もないからふわふわしていられるが、行く行くは優しさもとい弱気を克服して、たとえ道理に適っていても呑みたくない提案は突っぱねられるような、鋼の心を持たねばならない。そんな社会は厭らしくて真っ平御免だ、なんて世界の側をこき下ろすこともできようが、そんな気にはなれない。どんなに文明が発達したとて、食い扶持がかかっている限りは結局のところ殴り合いだ。中学・高校・大学と、ゆるふわ身内コミュニケーションに守られ続けていた俺が、いよいよ尖った小石を拾って戦わなければならなくなったというだけだ。

……あとは、その選択に俺自身が首肯するか、光の心で突っぱねるか。それだけ。

 

1583. 【四人対決】万札握って本屋へ行く! ~リターンズ・2025~

 

本屋――それは、人類の叡智が集い、好奇心を湧き立たせる処。

 

 

万札――それは、大いなる自由を湛える、一枚の上質な券。

 

 

思い出すのは、三年前のあの日。

学生だった俺たちは、万札の重たさに堪えかねて、日和った。

半分の、五千円札。そこから先へ、踏み込むことはできなかった――。

 

 

だが、今や俺はサラリーマンとなった。

そして、折しも今月は、入社後初めてのフルボーナス月。

 

電子書籍の方が便利? 図書館なら無料?

否、そんな遠慮や言い訳は、もはや無用。

今こそ興味と関心の赴くままに、リベンジを挑むべき刻だ。

なぜなら、

 

 

そこに日本最大規模の本屋があり、そして俺たちの手には万札があるのだから!

 

万札握って本屋へ行く! ~リターンズ・2025~」! すっぞッ!!

応ッ!!

制限時間は2時間! 14時ちょうどに再集合! 間に合わなかった奴には死あるのみ!!

応ッ!!

始めェィッ!!

チェストォォォォ!!!

 

 

 

 

 

~2時間後~

 

 

 

 

 

さて! それじゃあ早速見せてもらうぜ、戦利品をよォ!

見せあいっこ……しよ?

賭け狂いましょう!

まとまりねー

 

 

  〈登場人物〉

  13時43分

  14時01分

  14時04分

  14時07分(全ての本にカバーを付けてもらったため)

 

 

 

自分はまず、これ!『歴史の中の植物 花と樹木のヨーロッパ史』。

おー! 植物? 歴史??

ナツメヤシだとかオリーブだとか、神話にも繋がるいろんな植物の来し方を紐解いて、西洋の文化に与えた影響を地理・歴史の両面から見ようって本だね。

分かるわ~、その系統の分かり手の知識ってまず間違いなくおもろいんだよな。あとでその本くれ!

なんでだよ

 

 

他のラインナップは『リミナルスペース 新しい恐怖の美学』『地形散歩のすすめ』と……。

新詳地理資料 COMPLETE』!?

帝国書院だ!!

うわ懐かしい……授業中にチラチラ読んでたタイプのやつじゃん。

オイスたんはあんまり読み物って感じじゃないラインナップだね。

自分でお金を出して手に入れたい本って、手元に置いといてたまにつまみ食いする資料集とか、散歩の足しになるガイドブックとか、そういう系だと思って。

いいなあ、生活スタイルまで見えてくるような素敵なチョイスだ!

〆て1万と50円でした。

オーバーしてんじゃねえか

 

 

次は僕かな?

金具が自己啓発本!?!?!?

そんなに?

仕組み化する人はうまくいく 先延ばしをなくし「すぐやる人」になる55の法則』かあ。

今までこういう本を避けまくって来たけど、敢えてちゃんと読んでみるのも大事かなと思って。読んでみてから判断すればいいもんね。

こういう法則の数ってゾロ目がち。

それか「8か条」とかね。

「たった1つの法則」も見かけたよ!

行くところまで行ってるな……

 

 

他は、まず読み物が『方舟』と『しおかぜ市一家殺害事件 あるいは迷宮牢の殺人』。タイトルにも惹かれたんだよね!

へぇ、ミステリが好きなんだ!

あとは技術史の『ピアリング戦記』と、統計学に基づいた『認知バイアス辞典』。

文芸系と学問系の両極からチョイスしたんだ。意外と見せかけて、結構「っぽく」もあるよな~。

 

 

俺はまず、この絵本ね。

天使のたまご 少女季』……?

なんか押井守って書いてあんぞ。

40年前にアニメ映画化された作品で、今ちょうどリマスター上映されてて、その天使のたまごって映画はマジでいいので本当に見に行って欲しいんだけど、ああそうだ、この絵本がそれの原作で、つまりそういうことです。

いまオタクの加速の気配した?

 

 

残りは『Life goes on 黒山 キャシー・ラム作品集』とサルトルの『嘔吐』。

キタ! 画集だ!

なんかふてぶてしい顔してんのがめっちゃいいな~! 猫ちゃカワイイ全振りじゃなくて、どことなくオッサンっぽいというか。

サルトルって小説も書けるんだ。やるじゃん。

知り合い?

俺は割とよく本を買うので、一冊くらいに抑えなきゃな~とか思いつつ、なんだかんだ何冊も買っちゃった。

万握(まんにぎ)企画者としてありがたいの一言……!

 

 

ラストバッター行きます! まずは『マンションポエム東京論』!

お、めちゃくちゃ「っぽい」のが来たね。

う~ん、このマンションポエムは……才能アリ!

プレバト?

この本はいわゆる「ポエム」としてどうこうじゃなくて、顧客に訴求する売り文句としての形式やキーワードから、都市住民にとっての「住」への価値意識とか、東京近郊のエリア意識の均衡とかを読み解く本らしくて。

我々「非・地元民」には身についてない感覚が分かるようになるかもね。

あと、表紙がオシャレでかわいいのも決め手です。

だろうな~と思った!

 

 

他はまず、日頃の感謝と期待を込めて、オモコロ発の『悪魔情報』と『本が読めない33歳が国語の教科書を読む』。それから『歩いて学ぶ都市経済学』。

めちゃ面白そう! ……っていうか、表紙がさっきのと同系統だな?

好みが分かりやすくていいね。全部ソフトカバーだし。

最後に金額調整で『夏への扉』。

SFかな? 文庫で調整するのはいいね!

〆て1万と300円でした!

一番オーバーしてんじゃねえか!

 

 

 

このあと、一行はサムゲタンで身体を温め、酒を食らって大いに気持ちよくなった……(そして二枚目の万札が消えた)。

 

万札を握って、本屋へ行く。自分の感覚とセンスを、あるいは一瞬のパッションを信じて、何百万冊という叡智の中から数冊を選び取って購入し、いつか読む日を楽しみに紙袋を抱きかかえて帰るという、この喜び!

 

染みわたるスープの旨味に蕩かされて他愛もないクソバカを話しつつ、俺たちは皆、一人ひとり心の中で「最初はどの本を読もうかな?」と考えを巡らせてウキウキしていたのであった。

 

 

みんな、ここまで読んでくれてありがとう!

次は感想戦でお会いしましょう!

正直、作中で言った俺のツッコミは一部捏造だよ!

では、皆さんありがとうございました!

って、なんで俺くんが!?

 

 

 

 

~本当の本当に終わり~