780日目 にがにが

 

「普通」の同級生と飲むとき、苦い。

彼奴らのカードはいつも同じだ。サブスクで聴いている流行りのドラマの主題歌。あるいはアイドルソング。推しているバンドのフェスに行った話。一気見したジャンプアニメ。話題のマンガ原作映画。いかにもイマドキの「トレンド」の通りで、個性を感じない趣味の数々。

……そしてそれらは、俺が持っていないカードばかりだ。強い意志を以て「普通」に反逆しているわけじゃなく、あくまで億劫さと感覚のズレによる産物として「普通」を逸脱している俺にとっては、出したくても出せないカード。

それを引け目に感じるわけではない。屈辱を覚えるわけでもない。ただ、苦い。自分の「乗れていなさ」を自覚するとき、少しく心細く、そしてほろ苦い。

 

まあ、だからといって履修を決意したり、怠惰さを振り捨ててまでインプットに走ったりはしないんだけど。

この苦さに実体はないのかもしれない。