426日目 Allow me to read a script.

 

日英併記のプレゼン作り。これはまあいつものことだ。だが、スピーチも英語でとなると話が違ってくる。

とりあえずは日本語の原稿をざっと用意する。そして、一文ずつ翻訳機にかけていく。無論、そのままでは気持ちの悪い英文になるので、かなり細かく手直しをする。だが、どのみち英単語の正誤なんか分からないのだから、別段良いものが出来上がるわけではない。

思うのだが、毎度のごとく時間を取らせる英訳の作業は、純粋に研究活動の邪魔にしかなっていないのではないか? 全部日本語で片付けていいのならば、この程度のプレゼンなんてものの数十分で作り上げられるという確信がある。大して身に付きやしない「ながら英語」に、どれだけの無駄な時間を喰われていることだろう。

そう考えるとやはり、自動翻訳技術の向上は大変に喜ばしい。詩でもやるならともかく、一般的には言語は道具でしかない。道具を修得すること自体を頑張るより、代わりの道具を使ってさっさと本命のことを済ませてしまった方がよほど効率が良かろう。これから翻訳アプリの精度がますます高まっていくことを切に望む。

なに? 原稿はアプリで翻訳できても、自力を高めておかねば咄嗟の発話で困るって? そうだからこそ、さらなる技術革新が急がれているのだ。リアルタイムの音声翻訳機が出るのと、僕が見知らぬ英語圏の国で野垂れ死ぬのと、どちらが早いか賭けようじゃないか。

まだ原稿を訳している途中だが、とりあえず挨拶代わりに一文添えた。

Please allow me to read a script.

結局、聴衆の関心は発表の内容にある。言葉が上手いかとか、台本を読んでいるとか、そういった瑣事ばかりを見て怒られることは無かろう。失礼の無いようにだけ、気をつければいい。

まあ、本当は英語力よりも、肝心の研究内容の方が遥かに不味い状態なのだが。