946日目 ミッドナイトドッゴ

 

クジゴジは長い(9時-17時)。だが、17時-翌1時は拍子抜けするほど短い。同じ8時間作業でも「朝から夕まで」と感じると重大に思えるが、夜間にかけては思う以上に時計の針が早く回る。

日曜の研究室が好きだ。作業量が成果に直結しないうちの系統は、週末には人っ子一人いなくなる。のそのそと研究棟までたどり着いて、学生室の扉にカギがかかっていたとき、ほっとする。一人っきりの気楽さ。監視の目が無いからなんにも進まないけれど、帰りたくならないからいつまでも居られる。それに、どんなにグダグダやってもいい。現に今、立派な椅子の座面に寝っ転がって、背もたれに足を引っ掛けて回転しながら日記を書いている。

就活の書類には「協調性がある」「仲間と協力して問題を解決する」と書いている。本当のところは嘘だ。がんばって協調しているのと、されが好きなのとは違う。同期の顔色を見ながら義務感に駆られて何かを手伝う時間より、独りぼっちの自己責任でなんにもやらない時間の方がずっと楽しい。孤軍奮闘よりギブアンドテイクの方が物事が進むことはよく分かってる。けれども僕は、一匹で居ることの穏やかさを尊いと思う。

1時を過ぎて1時半になった。この調子でいればじきに朝が近づいてくるだろう。けれど、一つの区切りを越えて寝転がった僕に、これから手をつけたいものはない。目が疲れている。

なんにも前に進んでないけど、今夜一晩頑張りました。そんな甘っちょろい自己承認を大切にしたい。おうちのベッドを楽しみに、まずは荷物をまとめようと、飛んで行った靴を足で探りながら起き上がる。