605日目 初顔合わせの所感

 

明るい。みんなノリがいい。

一般に某工大の学生(これからは弊学生と呼ぶべきか)といえば、丸まった背中、辛気臭いオーラ、癖のある話しぶりといった特徴が思い浮かぶ。

しかし、学院を選べば必ずしもそうではない。うちの研究室はデザインや社会科学に跨る分野であるので、身だしなみと社交性への備えがあり、女子も多い。その上で、一定の知識人に特有の寛容さを持ち合わせているのだから偉いことである。

私に限ってはむしろ電電や情報系に近い人種であるので、この出会いにはやや面食らった。しかし、話の盛り上がる空間にそれとなく参加して微笑むのは苦ではない。既に一晩で馴染んだ感はあるが、今後もさらに少しずつ打ち解けていきたいものである。

 

私はネコである。

嘘ではない。今日は二つ隣に座っていた女子に「君ってネコっぽいね」と笑顔で言われた。それに返す言葉は「どういうこと?笑」ではない。「あざーっす」である。

遡ること数週間。以前居た研究室の送別会でも、秘書のおばさんに「君はネコっぽいんだよね~」と言われながら、私は目のくりくりした可愛い黒猫が描かれた紅茶パックをプレゼントされた。

一体「ネコっぽい」という判断がどこから導かれているのかは分からない。猫背だからかもしれないし、借りて来たネコのように大人しくしているからかもしれない。余所見ばかりしているから、気まぐれに見えるのかもしれない。一体褒められているのか不明である。

うちの研究室のメンバーは、キャラが被らないように選ばれていると聞いた。周りを見ると確かに、陽気な男に辛気臭い男、しっかりした女に天真爛漫な女、と役割が分かれている。となると、私は無害な飼いネコ担当で招集された可能性がある。嬉しい。

 

忙しくなりそうだ。

講義・研究・就活・バイト。四足のわらじを履かねばならぬことは決まり切っているから、大切なのはそれぞれが重すぎないことである。しかし話を聞く限り、うちは研究だけで見ても昨年より忙しくなることは間違いない。

以前所属していた研究室はあまりにも緩く、放任主義的であった。これに慣らされているから、新生活が過剰にせかせかしているように見えるのかもしれない。長期休暇にもゼミがあるというので驚いたが、考えてみれば決して珍しいことではない。要は、ついに私にも社会に戻るべき時が来たのだ。

講義とゼミを往復し、合間の時間にバイトへ行き、週末はインターンの準備。こんな生活をしていれば、たちまちに神経が磨り減るであろう。しかし、私は放っておかれるとどこまでも堕落していく人間であるから、あるいは適度なタスクを掲げた方が活き活きとした日々になるやもしれない。毎日研究室へ顔を出し、居場所を確立していくということを意識したい。

 

……五月病待ったなしである。