未知のものに対して、自分の頭で考えるということがあまり得意ではない。というか、好きではない。だって、無用な失敗をしたくないから。分からないことはさっさと人に聞いて、手っ取り早い正解が欲しいのだ。……そんなメンタリティを持つ者にとって、卒研の道のりは困難を極める。
アドバイスをもらえるかと思いきや、逆にいろいろな情報を付加されてすっかり訳が分からなくなった。ゼミ発表なんてそんなもんだ。
「俺が考えていたのとは違う方向に転がり始めている」……そう気づいていても、自力では軌道修正などできはしないし、面倒だから有耶無耶にする。
朧げなキーワードだけを頭に浮かべて、具体的な手法などは一切考えようともしないままに、刻一刻と月日は過ぎて〆切を迎える。
