722日目 無目的に

 

無目的に歩くことって、できるだろうか。

いや、理論上の話ではなく。今の自分の、モチベーションの話として。

 

夜中の住宅街に降りる。

明日の予定はなく、先の予想もない。どう過ごしたっていい、いつ帰ったって構いやしない、と思う。

そのまま歩き出す。コンビニがあるとか、後から帰って来やすいルートだとか、そういうのは抜きにして、風の吹くままに進路を取る。

 

そういうことができなくなった、って気づいたね。俺は。

いや、元からだったか?

 

せかせかするよね、なんとなく。

「あれ買っとかなきゃ」とか「三十分以内に帰ろう」とか、目的意識に追われて、早歩きする。

道端に新しい気づきを探す、そんなまなざしもすっかり忘れて、ひたすらにせかせかと。

夢の手枕に、不意に差し掛かった分かれ道の、知らない下り坂を選ぶ余裕を失くして、勝手知ったる道へ進んで現実へ戻る。

 

もう、ずっとそうなのだろうか。無目的に歩くことは、無いのだろうか。

くったり忘れてなんにゃらけ