955日目 ノマニマン

 

ベースアップ? というのかな、どうやら経済は物価ばかりが上がって苦しくなる一方ではなく、お給料も少しずつ増やしていこう、という流れがあるようです。例えばひと月あたり2万円増えるとして、一年間で20万円。時代の変化だけでそれほどの稼ぎが出ると考えると、学生は貯金なんかせずどんどん遊べ、という言説はあながち間違っていない気がしてきます。今の私が後生大事に貯めている数万円が、就職後数年経っても同じくらいの輝きを放っていることはありませんから。

けれども、世間一般に言う「学生のうちにやるべき遊び」とはほとんど「旅行」だけを指しているように思います。現に多くの知人が、せっせこ貯めたアルバイト代で国内や海外へ旅行に行く、という繰り返しに明け暮れていますが、なんだかありきたりというか、定型に嵌った人生の夏休みすぎやしないでしょうか。旅行以外で何か、自分なりに満足感が高いお金の使い方というものを考えてみたいと思いました。

 

・変なアパレル

初めに思いついたのはこれです。体の老化とか世間体とか、そういうことを考えると、ガキっぽく見えるうちにガキっぽいコンセプチュアルな服装を謳歌しておいた方がいいように感じます。

昨秋に思い切って中華風のアウターを買ったところ、わざわざ声を掛けられるほど評判が良く、思いのほか気持ちのいい冬場を過ごしました。さすれば今年は春も夏も、また別方向に尖った服を試してみようかな? と。

 

・コスプレ

アパレルの派生として、明らかに似合わない格好を試すというパターン。今年の一月に初めて参加した即売会で(たったの二か月前か)、どうせならと思い切ってコスプレ衣装を揃えて会場へ突入し、そして盛大に分からせられました。わざわざ小道具をDIYしてまで挑んだことの帰結が「俺は絶対に美少女になり得ない」だったというのは、ちょっと切ない学びでしたが、とはいえ不可能を知ることでキッパリと妄想を捨て去って、より自分らしい方向性の模索へと舵を切ることができたのは、悪くなかったように思います。

 

・焼肉食べ放題

これは実際にこないだ実行してきました。決して安くはないものの、急激に訪れた「死ぬほど牛肉が食いてえ……!」という衝動に突き動かされて、焼肉きんぐのきんぐコースへ。もちろん美味かったが、美味かったうえで、敢えて言えば「もう来ないからね~」という感想が勝った。あれ、焼肉ってこんなに無理しながら食うもんだったっけ。ちょっとショックだけれども、しかし「うん、俺は十分食った!」と満足できる年齢のうちに挑戦出来たのだから、まあまあ幸せ者でしょう。

 

・エッチなお店

いつかおっさんになってポケットマネーが有り余った暁には、怪しいお店でお金を払うことに何の痛痒も感じないでしょう。しかしその頃には体力も下り坂、キャストから影で「汚いエロジジイ」と罵られることを考えると、まだ若く「アタリ」の客だと思ってもらえる学生のうちに、身銭を切ってでもそういうサービスを体験しておくことはひとつ風変わりな思い出になるような気がします。何より、元気いっぱいなうちがいい。

 

・最新のiPhoneやグラボ

これは結構悩ましい。iPhoneを新しくすることは出かけ先で美麗な写真が撮れるようになることと同義であり、またグラボを強化することは最高のグラフィックでゲームを堪能することと同じです。おそらくはどちらも、自由にふらついたり長い時間ゲームしたりできる若いうちにこそ真価を発揮するガジェットでしょう。ただしかし、べらぼうに高価である。他のアクティビティとは桁が違ってくるので、費用対効果的な面で踏ん切りがつかない選択です。

 

・やっぱり旅行

何だかんだと並べてみましたが、結局のところ本当に自分だけしか思いつかないようなお金の使い道というのは無いんですよね。どれもこれもが典型的な類型のひとつです。そうやって堂々巡りでいろいろ考えた末、やっぱり若いうちに体験を買っておきたいなあと思うなら、旅行というのは悪くない選択肢ですよね。

旅行だけに心血を注ぐ学生時代というのはなんだかペラい気がするんですけども、ピンポイントでひとつふたつの旅の思い出というのは、後になってから輝きを放つような気もしますから。どこに行きたいでしょうね。ぱっと思いつくのは、寿司が旨いところ、酒が美味いところ、それから……。うーん。もうちょっと、まだ間に合ううちに、想像力を高めておかないと。

 

たぶん、まだまだ(形に残る・残らないを問わず)いろいろな楽しい使い方があると思うんですが、もう遅いですし一旦はこんなもんにしときます。

やあ、あれこれ考えているうちが一番楽しいね。くれぐれも、お金は大切に。