125日目 顕現シタ異物

 

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知る人ぞ知る名作アクションゲーム・ニーアオートマタの、チュートリアルBGM「顕現シタ異物」。

宇宙人によって侵略された地球を取り戻すべく、人間が送り込んだ精鋭アンドロイドたち「ヨルハ部隊」。主人公の2Bが地上の工場廃墟に降り立ち、宇宙人の手先である機械生命体たちと戦い始めるシーンで、この音楽が流れます。

 

ニーアオートマタはよく「鬱ゲー」と呼ばれますが、チュートリアルの段階ではまだ、特段陰鬱なところはない普通のアクションゲームです。……なんてことはなかった。

物語を始めたばかりのプレイヤーは、操作感の爽快さに感動を覚え、憎き機械生命体をばったばったと斬り裂いていくことに喜びを感じるでしょう。

しかし、ゲームを進めていくと、機械生命体たちにも独立した思考や感情らしきものがあり、かつての人間と同じように文化的共同体を営んでいることが分かってきます。

ニーアオートマタはマルチエンディング方式になっています。つまり、プレイヤーは上述の事実を知った状態で、再びチュートリアルに挑まなければなりません。愛を知り、恐怖を知る機械生命体たちを殺していくのは心苦しい。しかし、たとえプレイヤーに躊躇いの気持ちがあったとしても、2Bたちはその時点で真実を知らないのですから、憎むべき敵を一匹残らず殺さねば物語は先に進みません。

ご丁寧なことに、二周目は機械生命体の断末魔に字幕が付きます。というか、もともと意味不明なノイズにしか聞こえていなかったはずの鳴き声が、よくよく聞いたらちゃんと人間の言葉だったことに気づいてしまうのです。

 

とまあこういった感じで、ニーアオートマタは徹底的に「認識を根底から覆して絶望を与える」タイプの鬱ゲーです。……そして、この作品の罠は、ゲーム世界を超えた「外側の世界」にも仕込まれています。

覚えていますか? このBGMのタイトルは「顕現シタ異物」。ゲームの中に登場することは一切なく、動画サイトやサントラを通じて初めて知ることができる名前です。

未プレイの人や、まだ途中までしか進んでいないプレイヤーは、このタイトルの真意に気づきません。地球を侵略した宇宙人たちのことを示しているのかな? 程度にしか考えないでしょう。

しかし、ゲームを最後まで終えて暗い余韻に浸っているプレイヤーは、このタイトルを突きつけられて思わず呻きます。この日記を読んだあなたにもお分かりでしょう。「顕現シタ異物」とは他でもない、地上の機械生命体のコミュニティを蹂躙した2Bらヨルハ部隊のこと。我々が正義と信じて操作していた主人公たちは、初めから「異物」でしかなかったのです。私たちこそが世界を脅かす敵だった。そして、世界に○○された……。

 

……自分で書いておきながら、だんだんしんどくなってきました。

ちなみにこの日記には、ネタバレを回避するために敢えて嘘を書いた箇所があります。いえ、決してテキトーを書いたわけではなく、ちゃんとゲーム内の設定に沿ってはいますよ。しかし、ニーアオートマタというゲームは、ヨルハ部隊が信じた全てを裏切り、プレイヤーが認識した全てを覆してしまうのです。

 

私が夜中に「眠れへん」とか「もう布団から出るしかない」とかツイートしているときは、大抵ニーアオートマタのBGMを思い浮かべてしまって深刻な切なさに陥っているので、そこんとこ察してあげてください。

最後に「偽リノ城塞」を貼って〆にします。こっちのタイトルはもっとしんどいです。それでは🖐😄

 

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