188日目 掃き溜めのように面白い


ご覧。この入り組んだ、わいわいと賑やかな裏路地を。掃き溜めのように汚いが、どっこい、こんな街並みが一番面白いんだ。

公共交通の要所には、連日のように人が溢れ、昼も夜も通りが眠ることはない。そんなところには必ず、レストランや居酒屋、喫茶店なんかが軒を連ねる。商業が成立する街並みは愛され、守られ、ついぞ大開発によって潰されることもない。そうしてここが遊び場として定着していくたびに、街はますます発展していくんだ。


かたや、あの遠くの丘の上が見えるかい。太い直線道路をぶち抜いて作られた巨大なニュータウンは、一見美しく見えて、その実たいへんつまらないところなんだよ。

開発者の理想に沿って設計された、自然発生的でない街並みには、必ず「無意味」な空間が発生する。綺麗なばかりで誰も歩いていない、店ひとつ建たないメイン通り。死人が出そうなほど混雑する朝の駅前と、だだっ広くて監視の目が届かない、危険な夜の広場。


見えてくるかい。20年後の高齢化が約束された、歪な人口構成が。「作られた街」は必ず問題を抱えていて、それは決して自然の形で解消されることはないはずだ。

そこへいくと、やはり駅前のごみごみした街路は素敵だ。例え「住むのに適しない」と言われようが、僕はやはり、大都会での暮らしに憧れてしまうよ。