鏡を見て笑ってしまった。面白い。思わず「うわキッツ……」と口に出してしまう。もはや宴会芸だ。
骨格、体格、肌の色。小細工ではどうにもならない、厳然たる「不可能」が、醜悪な偽物の形をとって目の前に映っている。
いいかお前ら。なれないから、憧れるんだ。
手が届かないからこそ、届いた先の世界線を見たいと願う。
妄想に耽れば耽るほど、その強さに裏打ちされた「諦め」が立ち上がって、耳元で俺をからかう。
決断を迫られている。
正気に戻って、難のない安泰な道へとハンドルを戻すか。
恥を承知で、保身に走る自意識を蹴飛ばして、思いつきを最後までやり遂げるか。
悩んでいる。