夕暮れどきの住宅団地。
はるか坂の上までひと息に駆けていく弟。その背をのたのたと追いかける私。
低い背丈にぎゅっと凝縮された運動部生のエネルギー。
隆々たる筋肉の塊が、爆発するごとき勢いで飛び出します。
彼が走り抜けた後には、放出された熱が一本の筋となって残ります。
弟よ、お前のことを心底逞しく思う。
ボディがみっちり引き締まっていて、いかにも頼もしく見えます。
私とは比べものにならないほど動物的な美しさを備えていて。
弟の圧倒的な男らしさの前に、兄は背中を丸めて突っ立っていることしかできない。
下宿に戻ったら、古いスニーカーを引っ張り出して、コインランドリーに持っていこうと思います。
走るんだよ、兄貴だってね。