開いた自動ドアの向こうに、蒸せ返るような緑の匂いが満ちていた。
信頼できる感覚は、視覚だけ。嗅覚の解像度は、とても低い。
だから、あいまいに匂う。
背中を曲げてうつむいて、俺は静かに歩き出す。
いつ、どこのものかも分からない感覚。忘れてしまったあの夏が、あるはずのないここに。
いつも、あいまいに匂う。
開いた自動ドアの向こうに、蒸せ返るような緑の匂いが満ちていた。
信頼できる感覚は、視覚だけ。嗅覚の解像度は、とても低い。
だから、あいまいに匂う。
背中を曲げてうつむいて、俺は静かに歩き出す。
いつ、どこのものかも分からない感覚。忘れてしまったあの夏が、あるはずのないここに。
いつも、あいまいに匂う。