1227日目 めぐり逢ひて見しやそれともわかぬ間に……

 

大河ドラマ『光る君へ』の最終回を観ました。二〇二四年の初めから終わりまで、四十八話に渡って続いた紫式部藤原道長の歴史ドラマの、最後を締めくくる一時間。

 

…………。

 

すごかった~~。。

すごかったね。

 

 

一年間ずっと観てきましたけど、本当に脚本家や俳優といったプロフェッショナルたちへの畏敬の念が高まりっぱなしでしたね。『光る君へ』の物語はリアルな史実を土台としながら、最も大きな部分は重厚なフィクションによって形作られている。さらに言えば演劇というものはそれ自体が巨大なフィクションで、そこに生身の役者たちが究極のリアリティを吹き込むという芸術です。あらゆる筋書き、あらゆる表現に意味と説得力を持たせて、熱を込めて書き、演じ、映すということ。ため息が出るほど美しい、入魂のカットの数々……。ドラマというものを全く見ないで生きてきましたけど、ひょんなことから観はじめて、ほんとうに良かった。ロイヤル美男子すぎる一条天皇もできた女の倫子さまもそれっぽすぎる清少納言も、はんにゃ金田もロバート秋山もみんな良かったよ。

 

それから、基本的に日本史のこと一つも分かんないんですが、平安朝だけは異様に鮮明にイメージできるようになりました。いや変な人すぎる。

戦国時代とか江戸とか明治とかはヨロイだレンガ館だなんだとたくさんのヴィジュアルな物品が遺されていて、教科書でもいろいろ詳しく習うわけで、想像も含めてある程度のイメージができるわけ。けれども「平安時代」……えーっとあれですか、絵巻物? 蹴鞠? なんか、千年とかそれ以上も昔でしょ? 有名な戦も無さそうだし……てか、そんな昔の歴史書なんて空想の伝説みたいなもんでは?笑 ……と、思っていたんです。それこそ、源氏物語のイメージしか持ってなかったというか。

けれども今の俺はそうではない。謎に平安時代にだけ詳しい人間として往来を闊歩している。大河ドラマは厳しい時代考証に晒されることで有名なので、明らかなフィクション部分を除けば、年表ごとの出来事や登場人物のエピソード、建物やら服装やらの文化・風俗はかなり真面目に描写しているっぽい。Twitterの歴史クラスタが後方腕組みしていたので間違いありません。

まあな~んつか、そういう意味では、日本人の歴史観を涵養するという意志を持ってNHKが頑張ってるんだな~とも改めて感心したわけよ。

 

それからそれから、大河ドラマともなれば日本各地のお茶の間の方々、特に紫式部主人公ということでお姉さまお母さま方が観ているということで、毎週日曜の放映の後にはいろいろな賛辞やファンアートなんぞがTwitterで局地的にバズって、そういうコミュニティの盛り上がりを末席から眺めて楽しめるという点も面白かったな。ブルーアーカイブのポルノとは百八十度違う絵師の世界もあるんです。

紫式部役の吉高由里子さんの特徴を捉えた上手すぎるマンガがあるかと思えば、それとは全く別の切り口で、紫式部陰キャオタク女流同人作家的な親しみやすいキャラ性に読み替えた集合絵なんかもある。

↑勝手に紹介 これ大好き

「あっ、あっ、えへへ……」と紫式部先生が目の下のクマをこすりながらニヤニヤしているその手を取って「先生!!!!」と感極まって絶叫する情熱的な追っかけファンの藤原孝標女は居ます(断言)

こういういろいろの勝手な何次創作だかを受け入れてくれるのも歴史の懐の深さだなあと。歴史上、源氏物語を参考にした面白い文学やら芸術やらというのはたくさん生まれてきたわけで、このドラマや我々の何次創作もその系譜にあるんだと考えたら面白い。

 

ちゅわけで結論、面白かった! シンプルにでっかい声で感謝ですね~これは!

次は地面師を観ます。😀

 

 

入室12:00

退室17:00 ←みじけっっ