1156日目 ショー

 

町の電気屋の前に、小さな人だかりができていた。皆んなじっと展示品のテレビを観ている。俺も立ち止まった。大谷翔平がドジャー・スタジアムでプレーオフの打席に立っている。

買い物帰りの人、これから出かける人、互いに無関係の老若男女が皆んな足を止めて、特に言葉を交わすでもなく、ただほんの小さな連帯感の中でひとつのテレビを見守っている。

大谷は山なりのポテンヒットを打った。人々はおお、と小さく呟き、そして何事もなかったかのように、それぞれの街ゆく人に戻っていった。

涼しい日曜の昼に、俺も歩き出す。