123日目 寄せては返す波のなか


夢か現か幻か、寄せては返す波のなか……


微睡みながら、懐かしいあの頃の「if」を見て。

醒めて目を開くと、ちらりと時刻が目に入って。

また微睡んでは、美しくも儚い大都会を思い描いて。

またまた醒めては、刻一刻と深まっていく夜を見つめて。


……ようやく身体を起こした頃にはすっかり、スーパーも何もかも閉まってしまう時間でした。

買おうと思っていたあれやこれやが、今更ながら思い浮かんできます。本屋であれを探して、電気屋であれを冷やかして……。


夢の中に立ち現れる、存在しない街並み。

選びたかった過去。繋ぎたかった関係。

見たものが美しければ美しいほど、ますます切なさが焼きつきます。


……かといって現に帰れば、いよいよ孤独が深まって。

じっと外界の音を聞く、一人きりの冷たい部屋。

放っぽり出したノート。シンクに積み上がる食器。


喉の奥から漏れた喘ぎが、夜のあわいに溶けてゆく。

夢か現かどこへ行くのか、寄せては返す波のなか……