夢か現か幻か、寄せては返す波のなか……
微睡みながら、懐かしいあの頃の「if」を見て。
醒めて目を開くと、ちらりと時刻が目に入って。
また微睡んでは、美しくも儚い大都会を思い描いて。
またまた醒めては、刻一刻と深まっていく夜を見つめて。
……ようやく身体を起こした頃にはすっかり、スーパーも何もかも閉まってしまう時間でした。
買おうと思っていたあれやこれやが、今更ながら思い浮かんできます。本屋であれを探して、電気屋であれを冷やかして……。
夢の中に立ち現れる、存在しない街並み。
選びたかった過去。繋ぎたかった関係。
見たものが美しければ美しいほど、ますます切なさが焼きつきます。
……かといって現に帰れば、いよいよ孤独が深まって。
じっと外界の音を聞く、一人きりの冷たい部屋。
放っぽり出したノート。シンクに積み上がる食器。
喉の奥から漏れた喘ぎが、夜のあわいに溶けてゆく。
夢か現かどこへ行くのか、寄せては返す波のなか……