544日目 【企画】万札握って本屋へ行く~前編~

 

突然ですが。

 

本、読んでますか?

本屋、行ってますか?

 

う~ん。

読んでへんし、行ってへんなあ。

 

小学生の頃は、学校の図書室で何百冊も本を借りました。外遊びもせず、青い鳥文庫や「マンガ 日本の歴史」を読み耽っていました。

中学生になると、帰りの電車でうとうとしながらエッセイを読む生活が始まりました。わずかばかりのお小遣いで買った一冊のエッセイを、中身を覚えるくらい何度も何度も読み込みました。

高校に上がると徐々に読書量は減っていったけれど、タブ子に薦められた「四畳半」を読んで、まだ見ぬ大学生活に思いを馳せたりしました。受験期には罪悪感に苛まれながら「守り人」シリーズや源氏物語に逃げ込んでいました。

それが、今ではどうでしょう。

 

思えば、大学生になってからの4年間、ほとんど本を読んでこなかったような気がします。誰も止める者がいない自由な毎日を、好きなゲームで埋め尽くしたり。電車に乗っていても、決まって同じブログサイトを開くだけ。

新しい娯楽に触れて得たものもたくさんあります。けれど、刺激と怠惰の両極の娯楽にすっかり溺れて、縦読みの活字をインプットする習慣を失って……。もしかするとここ数年で、私の頭はすっかりペラくなってしまっているかもしれない。

 

そんな折に、こんな記事を読みました。

 

omocoro.jp

 

そうだ、懐かしい。本屋の中を巡るときのワクワク感って、あるよな。

それに、いつもの習慣や好みとは違う、知らない知識に触れてみることの大切さ。検索窓には出てこない未知の世界が、本屋の棚には溢れている。

 

そして何より、こんなにも素敵な書店が潰れてしまったという事実に、私の中で感ずるところがありました。「昔はよく本を読んでいたなあ」と懐かしむだけの私のような人間が、じわじわと本屋を衰退させていっているのだと。

 

こうしちゃおれない。本屋に行かなくては。本を手に取らなくては。新しい世界に触れたい。

本を、読みたい。

 

 

そこで今日は、先ほどの記事をリスペクトしまして「【企画】万札握って本屋へ行く」と銘打ち、いそいそと本屋へ行ってまいりました。

ルールは簡単。まず、一万円札を握ります。次に本屋へ行って、できるだけ普段見ないようなコーナーへ行き、ビビッと来たものを金額以内になるように買います。そして、読む。以上です。

……けれど、一万円はちょっと高すぎてよく分かんないので、今日は前半戦ということにして五千円でチャレンジしましょうか。

 

今回の舞台は京都の丸善ジュンク堂です。梶井基次郎の『檸檬』で有名な、あの。

さあ、早速行ってみよう! 閉店まで1時間切ってるし!

 

 

立ち止まっては、また歩いて。ぐるぐると回遊しながら思ったのは、

「目が滑るな~」

ということでした。ズラリと並んだ背表紙から、何も目に情報が入ってこない。たまに「おっ」と思う本があっても、ついつい値段を見ては棚に戻してしまう。「五千円使う」と心に決めて来たとはいえ、本ってのは(特に面白そうな専門書ほど)しっかり高価ですからね……。

本屋巡り、本屋での豪遊というのは、真に読書への愛と習慣がなければ躊躇してしまうものなのだと実感させられます。

 

そしてもうひとつ、

「新書ばかり見てしまう」。

昔、実家の書斎に父がたくさんの新書(いわゆる評論文)を溜め込んでいたのですが、今ならその気持ちが分かります。「勉強しよう」「本を読もう」と思って本屋に行くと、ついつい賢そうな本や「ためになりそう」な本ばかり手に取ってしまう。堅っ苦しい動機などなかったピュアな少年時代は、小説やエッセイにしか目が無かったのに。

 

今日は全く興味のないジャンルにも触れてみようと、敢えてBLコミックの欄に突っ込んでみたりもしたのですが、結局はある程度興味を持っているような、社会学系の「ためになりそう」な本ばかりをチョイスしてしまいました。

ですがそれでも、大きな収穫には違いないでしょう。本に触れるということそのものが非日常の経験なのですから。

 

 

それでは、本日お買い上げした4冊の本をご紹介します。

 

 

『性表現規制の文化史』

ジェンダー論・メディア論の棚で見つけました。メディア媒体によって自主規制されたりされなかったりするアレやコレですが、その規範はどのように作られ、どのように変化してきたのでしょうね?

目次を見ますと、まず1章に「猥褻とは何か」と書かれてあります。たぶん哲学とか宗教とか持ち出してくる感じですよね。いいですね、社会文化版ブラタモリ。どれくらい堅苦しいのか、はたまた普通にサブカル的なノリで来るのか、そこにも注目です。

まあ、オシャレでちょっとえっちな表紙に惹かれた部分も無くはないのですが。

 

 

『戦争とは何だろうか』

普段からニュースを注視しているわけでは決してないのですが、昨今の政情不安はやはり気になってしまう。物価の上昇やら労働力の低下やらを身に沁みて感じるとき、ふと「このまま苦しみが続けばやがては他国へ矛先が向かうのではないか……」と心配になります。だから私、実は戦争のことが知りたい。

まあ、こういう本はいかにも「おっさんが買いそ~」な本ではあるんですけどね。まずは平易な本から入った方がいいと思うからさ。

著者によって見解が分かれる部分もあると思うから、読後はオイスたんみたいな有識者の意見も聞いてみることにしましょう。

 

『ゲームが教える世界の論点』

帯に燦然と輝く「ペルソナ」の4字を見てカゴに入れました。あと「DEATH STRANDING」。

……というのもまあ嘘ではないですが、実際私もゲームをしながら「これは昨今のこういう事情に配慮してるな~」とか思うことがあるんですよね。一種のメディア文化論というか、そういう要素がゲームには隠されている。

自分で気づいたものもいくつかはあるけれど、一方で思いつきもしないような発想があるはずだから、そういうのが載っているならばぜひ知りたい。なんせ、私が大学で本腰を入れたことなんてゲームくらいしか無いわけですから。

 

『教科書名短篇 科学随筆集』

閉店まで時間が無くなり「蛍の光」に急かされたので、慌てて勢いでカゴに放り込んだ一冊です。

改めてタイトルを見てみると、言葉の取り合わせが不思議ですね。「科学」と「随筆」がどういう風に共存するのか、いまいち例が思い浮かばない。寺田寅彦湯川秀樹など名だたる著者が並んでいますが、一体どんな短篇集になっているのか見当もつきません。

 

 

【企画】万札握って本屋へ行く~前編~ の戦利品は以上になります。これら4冊の本は2月の課題図書としましょう。今月のどこかで、一冊ずつレビューの日記を書きたいと思います。

また、3月の頭には別の書店で後半戦を行います。春休み(というほど暇でもないけど)をたくさんの本と過ごす、我ながら悪くない心がけですね。

 

あなたも本屋に行ってみませんか? 五千円とは言わず、一冊とか二冊とかでもいいですから。何やら賢そうな本を読んでみちゃったりして、ぜひレビューを書いてみてくださいよ。

ああ~それか、後半戦に誰かフォロワーをお招きしても面白いかもしれないね。

 

 

 

 

(おまけ)

 

 

遠い昔に買ったまま放置しているこの本もできれば読みたい。自信は無いけど。