288日目 磨り潰されていく世界

 

世界を破滅から救う勇者……なんてのは昔から愛され続けている王道の展開です。ですが、そうした物語の凱歌は常に明るく勇ましいもの。あくまで元気で、前向きな作品ばかりなのだと思っていたのですが……。

私の想像していた以上に重苦しく、正しく破滅を見せつけてくるゲームに出会いました。いえ、決して能天気なばかりのシリーズではないというのは、知識としては知っていたんですが。ここまで悲惨な世界が描写されるとは思わなかった。

高い演出力には興味が惹かれますし、頭の中にある物語の引き出しが増えた感じがして、たいへん興奮を覚えます。しかし、それはそれとして、ぐっと胸が詰まるようで苦しいですね。動かされやすい私の心が、悲劇に触れて疲弊してくるのが分かります。

人の痛みや死の描写を喜んで受け入れられるほど、私はフィクションをフィクションとして割り切れるだけの冷静さを持ち合わせていないようです。